生命保険のための医学知識

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食道アカラシア(ショクドウアカラシア)

アカラシアは、食道と胃をつなぐ食道噴門部の食道括約筋が運動障害を起こす疾患です。食道噴門部の開閉障害もしくは食道蠕動運動の障害により、飲食物の食道通過が困難となります。持続的な嚥下障害があるため、食物の逆流、嘔吐、胸痛、胸やけ、背中の痛みなどがみられ、また冷たい水や精神的刺激で誘発されて悪くなり、固形物や液体もうまく飲み込めなくなります。

アカラシアの治療としては、風船で食道を拡張させるバルーン拡張術が一般的に行われています。しかしこの術式は再発が起こりやすいため、腹腔鏡下手術で食道の筋層を切開して胃噴門部を弛緩させる治療が行われることも多いです。

 近年、新しい治療法として経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy; POEM)が開発されました。POEMは内視鏡により食道の内側から筋層を切開する手術で、ゴムの輪のように食道を締め付けている食道輪状筋を切開します。POEMでは筋層切開の長さを可及的に延長できるので食道アカラシアのみならず、食道びまん性けいれん症にも適応可能です。第2項先進医療64号に登録されています。