消化器
カンジダ性口内炎は口腔カンジダ症、モリニア症とも呼ばれ、口の中で、カンジダという真菌の一種が増殖することで起こる口内炎です。カンジダ性口内炎は真菌に属している「candida albicans」が、口の中の粘膜の表面に増殖することで起こる口腔粘膜感染症で…
食道裂孔ヘルニアとは、食道が通る横隔膜に開いている食道裂孔に、胃がはみ出してくる状態をいいます。大半は滑脱型で、胃がまっすぐはみ出ており、症状が出ることは少ないですが、逆流性食道炎などの合併症を併発しやすくなっています。傍食道型は胃の一部…
嚥下は、舌の運動により食べ物を口腔から咽頭に送る口腔期、嚥下反射により食べ物を食道に送る咽頭期、食道の蠕動運動により胃まで運ぶ食道期に分けられ、これらが障害を受けるさまざまな疾患で起ります。脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、神経や筋疾患など…
胃の異常な回転や捻転によって起こる比較的まれな病気で、主に新生児や乳児に発症します。回転する軸によって、臓器軸性捻転と腸間膜軸性捻転に分類され、横隔膜ヘルニア、横隔膜弛緩症、食道裂孔ヘルニア、遊走脾、無脾症などを合併しやすくなっています。
突然起こる腹部のけいれん性の痛みのことを呼び、激しい痛みが数分間~数十分間続きます。胃潰瘍、急性胃炎、胃軸捻転、胃粘膜脱、十二指腸潰瘍、胆石症、胆管炎、急性膵炎など消化器系の病気が原因になるほか、ストレス、緊張、神経症などが原因で引き起こ…
腸管内容の肛門側への移動が障害される病態をいいます。腸管が閉塞するとガスや腸液により拡張し、静脈還流が障害され腸管壁が浮腫を起こして水やナトリウムが漏出します。その結果、腸管内圧が上昇して動脈血流の障害が起こり、腸管の壊死・穿孔を引き起こ…
腹の壁の弱い部分から、腹のなかの内臓が腹膜に包まれたまま脱出する状態をいいます。内臓が脱出する部分をヘルニア門、脱出する内臓をヘルニア内容、ヘルニア内容を包む膜をヘルニア嚢と呼びます。最も一般的なものは、腹部の手術部分にみられるもので、腹…
大腸の主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびらん性非特異性炎症性疾患です。30歳以下の若い成人に多く、持続性または反復性の粘血便・下痢が主な症状で、寛解と再発を繰り返す慢性疾患です。このほか腹痛・食欲不振・体重…
胆道にできる結石を総称して胆石といい、肝内結石・胆管結石・胆嚢結石があります。コレステロール系結石は、胆汁中のコレステロールが結晶になったもので、肥満や過食、ホルモンや薬の作用、ストレスなどが影響しており、色素結石は胆汁の成分であるビリル…
胆嚢の出口である胆嚢管が胆石などによって閉塞して胆嚢内の圧力が上昇し、胆嚢壁内の血流が悪くなったり、リンパ管の流れが障害されて壁がむくみ、胆膿 内に存在する細菌が増殖して炎症が起こる疾患です。胆嚢の炎症が慢性的に持続している場合や、急性胆嚢…
小腸から大腸に移った直後の大腸を盲腸といい、その末端からの突起物を虫垂といいます。その虫垂内部が腸の内容物やリンパ濾胞の増殖などにより詰まってしまい、2次的に細菌感染を併発した状態をいいます。虫垂が破裂すると細菌を含んだ腸の内容物が腹腔内へ…
C型肝炎ウイルスの初感染後に発症する急性肝障害をC型急性肝炎といい、症状は比較的軽いものの約70%が慢性化します。感染経路は輸血や血液製剤が主でしたが、供給血液からHCV抗体をスクリーニングできるようになり大幅に減少しました。現在の主な感染経路…
肝臓が硬くなり、外観が萎縮し表面は凹凸不整になった状態をさします。これはウイルス肝炎やアルコール性肝炎、その他の慢性的な肝臓病が長期間続いた結果、肝細胞が死に、その再生過程で線維増生が起こった結果であり、いわゆる肝臓病の終末像です。最初に…
唾液腺に結石が生じた状態をいいます。大半は顎下腺に起こりますが、耳下腺にも生じる場合もあります。原因は不明ですが、唾液の排出管に入り込んだ異物や細菌などを核として、そのまわりに唾液に含まれるカルシウムが沈着してできると考えられています。
急性膵炎の再発が繰り返されることによって成立し、膵臓の破壊が広範囲に起こる病態をさします。膵臓で産生されるインスリンの分泌低下は糖尿病と直結し、その他の消化酵素の分泌低下に伴い、消化・吸収障害が起り、膵石が高頻度で合併します。原因の過半は…
大腸に栄養を送る血管の血流が不足し、腸管が虚血となり、粘膜の浮腫・出血・潰瘍などが出現する病態をいいます。もともと血管に動脈硬化性の変化がある ところに、便秘による腸管内圧の上昇などが加わり起きると考えられており、高齢者や、糖尿病・膠原病・…
何らかの原因によって胃の粘膜に炎症が起こり、粘膜の浮腫、発赤、びらんの形成が短時間に引き起こされた状態をいいます。食べ物や飲み物(コーヒー、緑茶)、腐ったものを摂取、薬品(鎮痛剤、ステロイド剤、抗生物質、経口糖尿病薬)、ストレスなど外から…
食道静脈瘤(Esophageal varices)とは、食道粘膜下層の静脈が拡張・蛇行し、瘤状に隆起して静脈瘤を形成したものをいいます。肝硬変や慢性肝炎、あるいは門脈や肝静脈の狭窄・閉鎖によって門脈圧が上昇し、その結果、食道の粘膜下層の静脈が太くなって、静…
胆道閉鎖症(biliary atresia; BA)とは、肝臓と十二指腸を結ぶ胆道が閉鎖している病気です。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れないため、黄疸を引き起こし、放置すると胆汁性肝硬変に進行して死亡の危険性が高まります。先天性または生後間まもなく完全に…
何らかの原因によって脾臓が腫れて大きくなった状態をいいます。原因は脾臓自体にはなく、肝炎・マラリアなどの感染症、白血病・骨髄線維症・溶血性貧血などの血液疾患、ニーマン・ピック病・ウォルマン病などの代謝異常、その他、肝硬変・門脈亢進症・脾静…
クローン病(Crohn’s Disease)とは、回腸末端から盲腸(回盲部)を中心に、大腸及び小腸の腸管壁の全層にわたって、粘膜から筋層まで深い慢性の潰瘍性病変をひきおこす疾患の総称です。これらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。原因不…
足の付け根である鼠径部に、腸などの臓器の一部が飛び出した状態をいいます。鼠頸部にこぶのような膨らみがあり触ると柔らかく、初期のころは起立時やお腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜や腸の一部などが突出し、指で押さえると引っ込みます。次第…
赤痢アメーバという原虫による大腸の感染症で、赤痢アメーバの嚢子に汚染された飲食物を口からとることで感染します。感染しても症状が現れるのは 5~10%程度ですが、粘血便・下痢・鼓腸・排便時の下腹部痛などの赤痢症状を示します。典型的なケースでは…
大腸の限局性の隆起性変化と定義されます。腺腫性ポリープは大腸上皮の腫瘍性増殖によって生じ、前がん病変ともいわれ増大と共にガン化の危険率も増します。一方、過形成性ポリープは上皮の過形成によって生じる粘膜の隆起性病変をいい、ガン化の危険性は極…
唾液腺に起こる炎症をいい、原因は細菌・ウイルス感染、免疫異常によるものなどがあります。侵される唾液腺によって耳下腺炎、顎下腺炎、舌下腺炎などに分けられ、耳下腺ではおたふく風邪として知られる流行性耳下腺炎が最も一般的です。
ムンプスウイルスによる感染で、唾液を通じての空気感染または接触感染でうつり、耳下腺・舌下腺を侵し、有痛性の腫脹があります。髄膜脳炎や膵炎を併発することもあり、男子では睾丸炎をおこすと男性不妊の原因となります。その他、関節炎や心筋炎、心膜炎…
憩室とは大腸の壁の弱いところにできる袋のことをいい、そこで炎症や、穿孔が起こった状態のことをいいます。多くはS状結腸や左側結腸にできますが、大腸のあらゆる部位にできることもあります。主症状としては、腹痛、下痢、仙痛、排便習慣の変化などがあり…
動物の寄生虫がヒトの体内で成熟できず、幼虫のままあちこち移行して起こす病気を総称して幼虫移行症といい、アニサキス症も含まれます。アニサキスは回虫の仲間で、幼虫はイカ類やサバ、アジ、イワシなどの内臓表面や筋肉内に寄生しています。ヒトはこれら…
赤痢菌が腸に感染することが原因で起こる感染症です。小児にみられる細菌性赤痢の重症型で、循環不全(血圧の低下、意識障害など)を起こすと短期間に死亡します。熱帯や亜熱帯地域への海外旅行などで、赤痢菌が混入した物を飲食する事により感染します。
一部消化された物質やまったく消化されない物質が集まって固まったもので、胃その他の消化管にみられます。部分的に消化された毛髪や果物や野菜の繊維が集まってでき、ほとんどの場合は無症状ですが、消化管の管腔を部分的または完全にふさいでしまうと、け…