生命保険のための医学知識

生命保険、医療保険の引受や支払に関係する医学知識を都度書いてます。

腫瘍

異型脂肪腫様腫瘍

異型脂肪腫様腫瘍(atypical lipomatous tumor)は、脂肪肉腫の中で最もよく見られる低悪性度腫瘍である。別名、高分化型脂肪肉腫(well differentiated liposarcoma)や異型脂肪腫などとよばれている。50歳代が好発年齢で、大腿深部を始めとする四肢に多く発生…

隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)

隆起性皮膚線維肉腫(dermatofibrosarcoma protuberans; DFSP)は、まれなタイプの悪性新生物である軟部肉腫の1つで、皮膚の深層から発生します。中年以降の男性に好発する悪性新生物です。

パラガングリオーマ(パラガングリオーマ)

副腎髄質からカテコ-ルアミンと呼ばれる血圧を上昇させるホルモンを多量に分泌する腫瘍を褐色細胞腫といい、その中でも副腎髄質以外の傍神経節から発生する腫瘍をパラガングリオ-マと呼びます。カテコールアミンの上昇に伴い、続発性もしくは発作性高血圧…

トルーソー症候群(トル-ソ-ショウコウグン)

トルーソー(Trousseau)症候群とは、潜在性の悪性腫瘍の遠隔効果により神経症状を生じる傍腫瘍性神経症候群の一つで、悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により脳卒中症状を生じる病態です。そのため疾患の治療と抗凝固療法が必要となります。 原因となる悪性腫瘍は…

縦隔腫瘍(ジュウカクシュヨウ)

縦隔内に発生した腫瘍をいい、上縦隔には甲状腺腫が、前縦隔には胸腺腫と奇形腫、中縦隔にはリンパ性腫瘍・気管支嚢腫・心膜嚢腫が、後縦隔には神経性腫瘍が発生しやすくなっています。発生年齢も悪性度も良性からがんまで多様です。発生頻度は胸腺腫が最も…

脂肪腫(シボウシュ)

皮下脂肪組織が局所的に増殖したもので、良性腫瘍の一種です。痛みのない瘤として意識され、長期間にわたり徐々に大きくなります。症状は全く無く、化膿することもありません。比較的4~50代女性に多く、大部分が単発性で好発部位は背中・肩・臀部周辺の皮下…

粉瘤(フンリュウ)

新陳代謝によって表皮から剥がれ落ちる垢などの老廃物が、皮膚内部に溜まることによりできる良性の嚢胞性病変の総称で、表皮嚢胞・類表皮嚢胞とも呼ばれます。真皮層に入り込んだ表皮細胞は袋状の壁を形成し、その中に垢などの老廃物蓄積され、徐々に大きく…

肛門がん(コウモンガン)

肛門の入り口から約3cmにわたる肛門管に生じるがんを総称して、肛門がんといいます。大腸がんと比較し頻度は4%%程度となります。原因は解明されていませんが、コンジローマ・パピローマウイルス感染、複雑痔ろう等が関係すると考えられています。主な症状…

子宮がん(シキュウガン)

子宮がんは比較的若い女性に多い子宮頸がんと、年配に多い子宮体がんに分かれます。初期症状は現れにくく子宮体がんは不正出血、子宮頸がんは不正性器出血・帯下の増加などがあり、進行がんでは下腹部痛・腰痛・下肢痛や血尿・血便・排尿障害が現れます。転…

咽頭がん(イントウガン)

咽頭がんは上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分かれます。原因としてEBウイルス・アルコール・たばこ、食物・環境因子などの因果関係が報告されています。上咽頭がんでは頸部腫瘤と耳症状が最も多い症状です。中・下咽頭がんでは咽頭痛・嚥下痛、嗄声…

甲状腺がん(コウジョウセンガン)

甲状腺がんは甲状腺の上皮細胞由来の悪性腫瘍で、30歳代から50歳代の女性に多いです。しこりがあるだけで、ほかには何も自覚症状がないのが特徴で す。甲状腺腫のうち結節性甲状腺腫の1つです。病理組織学的に次の4つに分類されます。乳頭癌、濾胞癌、髄様…

軟部肉腫(ナンブニクシュ)

体の軟部組織から発生した悪性腫瘍のこといい、軟部とは、体の肺や肝臓などの実質臓器と支持組織である骨や皮膚を除いた筋肉、結合組織(腱)、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経を指します。この腫瘍は、手足、体幹、頭頸部など体のいろいろな部位に発生し…

前縦隔腫瘍

前縦隔腫瘍(Anterior mediastinal tumor)とは、心臓、大血管、気管、食道を除いた縦隔内に発生する腫瘍をいい、いろいろな組織型があり良性と悪性の腫瘍があります。頻度としては胸腺腫がもっとも多く、そのほか、神経性腫瘍、奇形腫、先天性嚢胞、リンパ…

ボーエン病(ボーエンビョウ)

皮膚または粘膜の表皮内部に生じる癌の一つで、表皮内に病変が留まっているものをいいます。体幹部や下肢、陰部に多く発生し、日光照射、ヒ素中毒、免疫抑制状態(エイズなど)、ウイルス感染、皮膚傷害、慢性皮膚炎が原因となります。砒素による場合は、手…

神経鞘腫(シンケイショウシュ)

神経のなかに発生する、極めて特徴的な腫瘍であり、多発することもあります。発生原因は不明ですが、神経の線維を覆っているシュワン細胞が起源といわれています。蛇が卵をのみ込んだような形で神経のなかに腫瘍ができ、腫瘍部分をたたくと、その先の手や足…

大腸ポリープ(ダイチョウポリープ)

大腸の限局性の隆起性変化と定義されます。腺腫性ポリープは大腸上皮の腫瘍性増殖によって生じ、前がん病変ともいわれ増大と共にガン化の危険率も増します。一方、過形成性ポリープは上皮の過形成によって生じる粘膜の隆起性病変をいい、ガン化の危険性は極…

声帯ポリープ(セイタイポリープ)

のど仏の裏側、喉頭にある声帯の粘膜が一部腫脹または突出したものです。声を出す器官である声帯に、激しい刺激や炎症が起きると粘膜上皮下に出血が起きてしまい、粘膜上皮下の血管が破れて血腫を作る事が原因となります。ポリープの大きいものでは、呼吸困…

イートンランバート症候群

イートンランバート症候群(Lambert-Eaton myasthenic syndrome: LEMS)は、重症筋無力症に似た症状を呈します。原因は肺癌(小細胞癌)に合併する抗VGCC (voltage-gated Ca Channel) 抗体です。この抗体により神経筋接合部でCaチャンネルが作動せずアセチルコリ…

骨髄腫(コツズイシュ)

血液を作る骨髄のなかで、抗体を作る形質細胞(Bリンパ球)が、がん化したものです。血液細胞の腫瘍なので、全身の骨に多発し、通常は多発性骨髄腫と呼ばれます。主症状は、加齢的変化による腰痛や頸部痛などに似た痛みが徐々に悪化し、痛みの場所が移動す…

巨細胞腫

巨細胞性増殖を特徴とする骨・軟部腫瘍の一群で、腱鞘巨細胞腫、骨巨細胞腫、巨細胞性修復肉芽腫、動脈瘤様骨嚢胞、軟骨芽腫などがあります。

腱鞘巨細胞腫

腱鞘巨細胞腫は、四肢末梢の関節および腱鞘周辺に好発する軟部腫瘍です。脂肪腫、神経鞘腫に次いで多い疾患です。圧倒的に手指の指節間関節周囲の腱鞘に隣接して発生します。手指関節以外では膝関節、股関節、手関節、肘関節での発生があります。

小脳血管芽腫

小脳血管芽腫(cerebellar hemangioblastoma)とは、小脳に発生する増殖の遅い良性腫瘍で、異常に増殖した血管組織から構成されます。遺伝性の多発例はフォンヒッペルリンドウ病(von Hippel Lindau disease)と呼ばれます。

神経線維腫症(シンケイセンイシュショウ)

皮膚・神経を中心に人体の多くの器官に神経線維腫をはじめとする様々な異常を生じる遺伝性の病気で、レックリングハウゼン病とよぶこともあります。神経線維腫症1型は神経線維腫と呼ばれる腫瘍や色素斑など皮膚症状が強く、神経線維腫症2型は両側の聴神経…

単純性甲状腺腫(タンジュンセイコウジョウセンシュ)

甲状腺機能亢進症状や低下症状の症状や腫瘍(結節)がなく、単に甲状腺が腫脹している場合を言います。血中甲状腺ホルモン量は、甲状腺の組織の代償性肥大で殆どが正常です。症状は甲状腺組織がびまん性腫脹をしており、稀ですが腫張が大きくなると気管や食…

ホジキンリンパ腫(ホジキンリンパシュ)

悪性リンパ腫の一分類で、病理組織学的にはホジキン細胞あるいはリード=シュテルンベルク細胞等を認めるのが特徴的です。症状は表在リンパ節腫大(首のつけね、脇の下、足のつけねなどのしこり)・体重減少・発熱などがあります。

胆嚢がん(タンノウガン)

胆嚢から発生する悪性腫瘍で、初期では併存する胆石症や胆嚢炎による腹痛や発熱などの症状が出現しても、がん自体による特徴的な症状がない為に早期に発見されることが少なく、有効な治療法に乏しいため、予後の悪い癌といわれています。進行して胆道を圧迫…

乳がん(ニュウガン)

乳腺を構成している乳管や小葉の内腔を裏打ちしている上皮細胞から発生します。がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっているものを非浸潤がん・乳管内がん、乳管や小葉を包む基底膜を破って外に出ているものを浸潤がんといい、この他、非浸潤がんが乳管が開口…

肉腫(ニクシュ)

骨・軟骨・脂肪・筋肉・血管等と言った非上皮性細胞由来の結合組織細胞に発生するがんをいいます。組織学的には、非上皮性要素の肉腫実質が間質の結合織と密に入り混じって認められ、上皮性腫瘍に属する癌にみられるような実質と間質との明瞭な区別を示さな…

胆管がん

胆管の上皮から発生する悪性腫瘍で、発生部位により、肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類に分けられます。食欲不振・全身倦怠感・腹痛・黄疸などが主症状で、がんで胆管内腔が閉塞し胆汁が流れなくなると黄疸、腸内に胆汁が流れなくなると白色便がおこり、…

絨毛癌(ジュウモウガン)

子宮壁に接着する絨毛の上皮が異常増殖してできる悪性新生物です。胞状奇胎の娩出後や流産後に発生しやすく、若年女性に多く見られます。非常に早い時期に全身の器官に転移を起こしやすいのが特徴です。初期症状の多くは強度の性器出血・褐色の帯下などが発…