生命保険のための医学知識

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椎骨脳底動脈循環不全(ツイコツノウテイドウミャクジュンカンフゼン)

一過性脳虚血発作(TIA)の一種であり、この発作の発現には椎骨動脈系血流量の一過性減少が原因と想定される病態を総称しています。めまい、肢のしびれ、四肢末端の知覚障害も伴うことがあります。聴覚症状の合併は少ないです。動脈硬化を起こす50歳以上の高齢者においてよく起こります。高血圧、高脂血症などに合併することが多いです。

心臓から頭部に向かう大動脈は、首の前側を通る頸動脈と、首の後ろ側の頸椎の中を通る椎骨動脈に枝分かれします。それぞれが頭蓋内に入りさらに枝分かれして、大脳と小脳の隅々にまで血液を送っています。

 このうち、椎骨動脈は頭蓋内に入ると脳底動脈となり、脳幹や小脳、後頭葉や内耳にも血液と栄養を送ります。この椎骨動脈または脳底動脈の血流が何らかの原因でとどこおると、脳幹や小脳に栄養が届かなくなり、めまいや手足のしびれ、頭痛、目のかすみ、舌のもつれなどの症状を引き起こします。この病態が椎骨・脳底動脈循環不全です。