胸筋合併(定型)乳房切断術(ハルステッド手術)
乳房の悪性腫瘍を切除する目的で患側の乳房・大胸筋・小胸筋・腋下リンパ節を切除する方法です。従来、乳癌根治術の標準術式ではありましたが、切除面積が大きく術後の傷跡も目立ち、リンパ液の流れが悪くなることによる患側上肢のむくみなどの後遺症もありました。そのため現在では大胸筋に浸潤が認められる場合やリンパ節への転移が著しい場合を除きハルステッド手術はほとんど行われておりません。
酒さ
酒さとは、30歳から60歳代の中年以降に生じる顔面の慢性炎症性皮膚疾患で、紅斑性酒さや酒さ性ざ瘡があります。原因は不明です。酒さの症状を悪化させる因子として、精神的緊張、紫外線、温熱、寒気、飲酒、香辛料などがあります。女性では片頭痛の合併が多いことから、血管運動神経の異常が考えられています。
酒さの症状は、鼻、眉間、頬、あごなど顔面の中央部に、ほてり感を伴う潮紅つまり紅斑や毛細血管の拡張がみられます。いわゆる中高年の赤ら顔が特徴です。これに灼熱感、チクチク感、乾燥、浮腫、眼症状、鼻瘤などの症状が伴うこともあります。
女性の酒さでは、敏感肌つまり化粧品に対して易刺激性になっていることが多いです。化粧品をつけるとチクチク、ピリピリと痛かゆさを訴え、化粧品かぶれと診断されてしまうことも多いようです。このような場合でも皮膚のパッチテストは陰性で、化粧品を中止しても症状は改善しません。この時は酒さを疑う必要性があります。
酒さの顔に発赤がみられるのは、もともと顔面の血流量がほかの部位より多く、また血管の走行がより浅くて太いためです。これが皮膚温度を上げ、微生物やニキビダニなどの反応や動態を変化させている可能性も考えられます。
酒さの重症度に応じて次のⅠ度からⅢ度に分類されます。
第Ⅰ度酒さ・・・紅斑性酒さ
第Ⅱ度酒さ・・・酒さ性痤瘡
第Ⅲ度酒さ・・・鼻瘤
酒さの強い症状があるときは、テトラサイクリン系抗生剤のミノマイシンやビブラマイシンなどの内服が有効です。ステロイド剤の使用は、酒さ様皮膚炎を起こすため、良くありません。
糞線虫症(フンセンチュウショウ)
糞線虫は、熱帯から温帯にかけて広く分布している長さ2mmほどの糸くずのような虫です。土壌中にいる幼虫が皮膚から入り小腸上部の粘膜に寄生します。寄生数が少ないと症状はありませんが、増加すると下痢・腹痛、重症になると吸収障害・体重減少・むくみが出ます。 また、粘膜からの出血による貧血、腸管の麻痺・肺炎など、多様な症状が出てきます。便のなかの動く幼虫や、内視鏡で胃や十二指腸の粘膜採取時に虫の断面が発見されることもあります。下痢や肺炎などの症状がある場合は抗体検査も有効です。糞線虫自体は、駆虫薬でほぼ完全に駆虫できます。